2026年

2026年2月24日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

中国政府による格納式ドアハンドル禁止に激しく同意

今回は中国政府による規制について述べたい。中国工業情報化省は2026年2月、自動車に搭載される格納式ドアハンドルの使用を禁止する方針を発表した。格納式ドアハンドルとは、テスラが最初に広めた構造であり、車体と一体化するデザインが特徴で、スタイリッシュさが売りとなっている。

現在では、テスラのModel Y・Model 3、XiaomiのSU7・YU7、BMW iX3、NIO ES8、Li Auto i8など、販売上位モデルの約6割までが同仕様を採用している。

新規制は段階的に導入され、新型車は2027年1月1日以降、既存の認可済みモデルは2029年1月1日以降、規制に適合したドアハンドル設定が義務付けられる。

この決定の背景には、中国国内で発生した2件のXiaomi製EVの火災事故がある。いずれも電源喪失によりドアが開かず、乗員が脱出できないまま死亡に至った。このため、メディアでの関心は一気に高まり、格納式ドアハンドルの安全性に対する疑念が広がった。

今回の規制は中国国内向けではあるものの、中国は新エネルギー車の主要輸出国であるため、国際市場への影響は避けられない。また、テスラ車でも過去10年間で格納式ドアハンドルに関連する死亡事例が15件報告されており、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)も調査を進めている。

これまで世界の安全規制を牽引してきたNHTSAがまだ検討段階にある中で、中国政府が先に禁止に踏み切ったことは、相当な葛藤があったのではないだろうか。それでも死亡事故のリスクを前に「これ以上放置できない」と判断に傾いたと考えられる。

車のデザイン性より安全性を優先し、自動車メーカーに短期間で大幅な構造変更を迫る今回の規制に対して、筆者は激しく同意したい。おそらく、今回の事案を契機に、新エネルギー車の安全基準においては、米国だけでなく中国も主導的な役割を果たしていくのではないだろうか。

2026年1月27日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

AIが作り出すワークスロップ(Workslop)の弊害

テスラや中国自動車メーカーなど、AIを活用した自動車開発の事例が増えてきた。一方で、AI活用にまつわる困った話も海外では報告されている。その代表例が、昨年末から海外で広まっている言葉「ワークスロップ(Workslop)」だ。

ワークスロップとは、AIが生成した質の低いコンテンツを指す造語である。slop は「粗悪な混ぜ物」や「家畜のエサ」を意味し、それに work を組み合わせることで、「見た目はそれらしく整っているが、中身が伴わず価値のないコンテンツ」を揶揄する言葉として使われるようになった。実際、最近はレポート、プレゼン資料、作成画像など、表面だけ整ったコンテンツが増えている印象を受ける。

先日も、ホワイトハウスより、トランプ大統領がグリーンランドでペンギンと歩いている画像が投稿された。しかし、ペンギンは南極にしか生息しないため、世界中から総ツッコミを受けた。
https://www.chunichi.co.jp/article/1198389

ワークスロップは、スタンフォード大学ソーシャルメディアラボとBetterUp Labsの研究者が2025年9月に発表した論文で定義された概念であり、ビジネス誌Harvard Business Review(HBR)に掲載されたことで一気に世界へ広まった。

ワークスロップが企業にもたらす弊害は小さくない。体裁だけ整った資料が提出され、上司が再チェックや修正に追われることで時間が奪われるほか、チーム全体の信頼性低下にもつながっている。

その背景には、アウトプットを検証せずAI結果をそのまま提出してしまうことや、スピード重視の評価制度のため、とりあえず報告書を提出しがちであること、さらには課題や解決策をAIに丸投げしてしまい、人間が思考停止に陥っていることなどが指摘されている。

日本でも今年流行すること間違いなしのワークスロップ。心当たりがあり、少しドキッとしている人も多いのではないだろうか。