テスラ モデル3のプロジェクトマネージャーに敬意
先週、テスラ モデルSとモデル3の分解を視察する機会があった。時系列でいえば、モデルSが先に発売され、モデル3が後に出たクルマとなる。
この2つのクルマを見比べて、改めて驚かされたことがあった。一言でいうと、モデルSは手作り品、モデル3は50万台製造を前提にした完全なる工業量産製品という感じである。
紙面の関係で詳細に説明できないが、電池パックの統制された考え方や、これまで60~70個あったECUを3つのECUに取りまとめたこと、さらには自動運転に対応した統合ECUの採用など驚きの連続である。
もし私がテスラ モデル3のプロジェクトマネージャーであれば、このようなことが実施できたかと自問すると、あまりにもリスクが大きいことや、取引先との関係が破壊されてしまうこと、統合ECUはAIへの技術完成度に対する不安などによって、モデルSからの一部改良に留まってしまうように思えてならない。
しかし、現実にはモデル3にて、これまでの自動車エンジニアでは躊躇してしまう大胆なアイデアを多数搭載しており、その見識と実行力に敬意を表さずにはいられない。
おそらく、開発中も、設計・実験部隊から「ムリだ!」「出来ない!」「利益が出ない」「日程に間に合わない!」など突き上げることが多く、胃に穴が開くような状態だったのではないだろうか。そのような中で、多くの隘路を上手く差配しながら、量産に漕ぎつけた力量は驚きである。
テスラの将来性はどうかという人がいるが、テスラの強みは、このような優れたプロジェクトマネージャーを採用し、育成していることかもしれない。