黄州寒食詩巻(こうしゅうかんしょくしかん)
7年前より書道を習っており、日本で最大規模の書道展である第82回謙慎書道会展に出品したところ、初めて「褒状」をいただいた。ちなみに、謙慎書道会展では、下から「入選」「褒状」「秀逸」となっており、その上は少数の「特選謙慎賞」や「推薦顧問賞」がある。昨年入選だったため、一つ上がった結果となった。
先生から無謀だと言われながらも書いたテーマは、蘇東坡(そとうば)の「黄州寒食詩巻」の一部である。ご存じない方のために少し紹介すると、蘇東坡は宋時代の著名な政治家・詩人・書家であり、人生の中で、時の政権と意見が合わず、幾度も左遷や追放の身となった経験を持つ。
そのような中にあっても、希望を失わず、明るく、持ち前のエネルギーにて、数多くの優れた書を書いたようだ。「黄州寒食詩巻」も、1082年、黄州(現在の湖北省黄岡県)に左遷された時に書いたものであり、逆境の中、秘めたる闘志が発露したと言われている。
考えてみると、テーマ選定時は、新型コロナウィルス発生前であり、まさか現在のような状況になるとは夢にも思わなかった。しかし、蘇東坡の如く、どんな逆境にあってもくじけず、勇気をもって立ち向かうことが必要であり、今の状況に相応しいのではないだろうか。
第82回謙慎書道会展は、新型コロナの影響により中止となり、作品の完成形を見ることは出来なかったが、気を取り直して、改めてチャレンジしたい。
ご参考:蘇東坡の黄州寒食詩巻
http://y-tagi.art.coocan.jp/411.htm