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2021年8月16日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

デジャヴな米国自動車業界

現在、米国の自動車メーカー、ディーラーが空前の活況を呈しているとのこと。発端は半導体不足である。携帯やゲーム機器などに限らず、汎用品の多い自動車業界にも半導体不足の影響が及び、減産を余儀なくされている。これは日系自動車メーカーも同様である。

それにともない、販売可能なクルマが一気に少なくなってきた。いわゆる玉不足である。こうなると、日本とは商慣行が異なるためか、売り手市場となり、自動車メーカーはこれまで支払っていた値引きのためのインセンティブを廃止し、ディーラーは値引きではなく、通常価格にエクストラ料金を上乗せして販売し始めた。

いわゆる自動車メーカー、ディーラー丸儲けの構造である。以前にも、好評なクルマではこのような現象が幾度かあったが、今回はほぼ全般に及んでいることに違いがある。

しかし、ちょっと待って欲しい。米国自動車業界は2016年の1755万台をピークにここ5~6年は長期低落傾向が続き、自動車メーカー、ディーラーとも苦しんできた。これは人口が微増しているにも係わらず、ライドシェアなどを利用し、自動車を購入する人が減ったことなども影響していると思われれる。

今回の祭り(半導体不足)の後は、高値で買ったクルマと、中古車価格の落差などギャップに苦しむのではないだろうか。どこでも、祭りの後は寂しさがともなうが、はたして米国自動車業界はどうであろうか。