2016年1月13日「Automotive World」の基調講演を聞く機会がありました。
基調講演は4人のスピーカーだったのですが、最後に講演されたTesla Motorsの電池責任者カート・ケルティ氏が言ったことで気になったことがありました。
彼とは2013年6月に来日の際、取材したことがあるのですが、相変わらず元気な様子でした。さて、気になったことの一つがソフトのアップデートです。
テスラのモデルSでは2~3ヶ月に1度の割合で、ソフトのアップデートを行っているとのこと。その中の一つに、最高スピードもUPさせることができるとのこと。思わず「えっ!」と言ってしまいました。
私はソフトのアップデートとは制御系、つまりバグとか最新のソフトを導入するレベルかと思っていたのですが、テスラはかなり大胆にいろいろな要素をアップデートさせているようです。
これは自動車会社の思想というより、ソフトウェア会社の思想でしょうか。
もう一つは自動運転に関してです。
テスラでもまだ初期段階の自動運転なのですが、それでも2014年の段階でモデルSにはカメラ・レーザーレーダーなどハードは既に取り付けて販売したとのこと。
しかし、ずっとソフトが完成しないので動かすことが出来なかったが、2015年10月なり、ソフトがかなり完成したので、ようやくハード&ソフトで自動運転機能の一部を作動させたとのこと。
これも自動車会社の発想ではなかなか実現難しいことです。ソフトを開発している1~2年の間にハードも進化してしまうことを考えると、早い段階で装着することのリスクを取れるものではありません。
2つのコメントを聞き、考え方がこれまでと違うとビリビリ!ときたものです。
なお、これに関して、2016年1月11日付けWSJにて、テスラは自動運転機能付きの車両で、オーナーが危険な状況で「手放し」運転している様子を撮影した動画が多く出回っていることを受けて、自動運転機能に制限を加えたと報じています。
また、最初のスピーカーであった富士重工スバル技術本部の執行役員も、スピーチ最後に、当社は自動運転に関して5段階あるが、アイサイトなど先進技術をもってしても、まだ当面はレベル2(場面を限定した上での部分的な自動運転)を目指すと言及しており、完全自動運転や人が乗っていない自動運転は視野に入れていないようでした。
自動運転はメディアによりオーバーシュートした感もあり、今年はさらに地に足のついた議論になってくるのかもしれません。