2026年3月23日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2026年3月23日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

欧州にてPHEV淘汰の危機

欧州において、PHEVが重大な転換点を迎えている。以前より、PHEVの公称CO₂排出量と実際の走行時排出量との乖離が指摘されてきた。ベルギーを拠点とする環境NGOであるT&Eは、この乖離が最大で5倍に達するとしている。

こうした指摘を受け、欧州委員会は車載燃料消費量監視装置を用いて約60万件の実走行データを収集し、詳細な分析を実施した。その結果、依然として平均3.5倍の乖離が確認された。つまり、PHEVでありながら充電を行わず、エンジン主体で走行する利用者が多数存在することが明らかとなった。

この実態を踏まえ、欧州委員会は実走行データを重視した規制体系への移行を決定し、PHEVのCO₂排出量算定方法の見直しを段階的に導入した。第一段階は2025年1月以降の新型車を対象とし、第二段階は2027年1月以降の新型車に適用される。両段階において、EV走行割合を評価するユーティリティファクター(UF)が再定義された。T&Eの試算によれば、公称値35 g/kmであったPHEVのCO₂排出量は、2025年の第一段階で81 g/km、2027年の第二段階では114 g/kmへと大幅に増加する見通しである。

この数値は、2027年時点でPHEVがガソリン車やHEVとほぼ同等、あるいは一部の車種ではHEVを上回るCO₂排出量と評価される可能性がある。結果としてPHEVは環境対応車としての優位性を失ってしまう。

欧州自動車業界は、2025年規制については既に施行済みであるため変更は困難と認めつつ、2027年規制については「凍結」を要望している。しかし、法制化が完了している現在、その実現性は難しいであろう。このまま規制強化が進めば、PHEVは欧州市場における環境車としての位置づけを失い、事実上の淘汰に向かう可能性が高い。

欧州のPHEVに対する規制強化は、米国、中国、日本などにも飛び火し、PHEVに対する見方が厳しくなるのではないだろうか。

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