日本の自動車産業は「前門の虎、後門の狼」なのか
日本の自動車産業に著しく閉塞感が漂ってきたように思える。
内燃機関からEVシフトへの移行が遅れており、これを取り戻そうとした大手自動車メーカーの経営統合も破談に終わった。結局、海外勢から立ち遅れていた日本の自動車産業は挽回が難しいのであろうか。
内燃機関車は次第に包囲網が狭められている。世界的な環境規制が厳しくなり、例えば、欧州では、2025年から企業平均燃費(CAFE)規制が94g/kmに強化される。このCAFE規制では、CO2排出量が基準値を1g超過するごとに、販売台数1台当たり95ユーロ(約15,000円)の罰金が課される。どの日系自動車メーカーも、対策に悪戦苦闘している。
また、米国の企業平均燃費基準(CAFE)に関しては、第2次トランプ政権発足と同時に、バイデン政権時代に策定した内容の見直し方針が出された。今後緩和が予想されるが、日系自動車メーカーにとっても厳しいことに変わりはない。
一方、ではEVシフトに対してうまくいっているかと問われれば、OTA、e-Axle、ギガキャストなど、革新的技術を素早く導入できす、米国や中国に差をつけられている。
さらに、自動運転技術に於いても、テスラが提唱した生成AIによるE2E(End to End)では追随できていない。逆に、中国の新興自動車メーカー小鵬汽車(シャオペン)などではE2Eを標準搭載すると表明している。追い打ちをかけるように、中国発の生成AIであるDeepSeekでは、公開後、多くの中国自動車メーカーが搭載を公表した。残念ながら日本勢は生成AIの動きに全くついていけてない。
このように、日本の自動車産業は、前門の虎、環境規制など内燃機関を縮小させる動きに対応できておらず、EVシフトを進めようにも、後門の狼、つまり、中国勢、米国勢が進める新技術に対応できていないのが現状ではないだろうか。
今後どうすべきか。このような閉塞感を感じている時は、脚下照顧の如く、今一度、現状を冷静に見つめなおすことが大切のように思えてならない