2024年、EVシフトは踊り場を恐れるな
最初に、能登半島地震および羽田空港事故により犠牲となられた方々に心よりお悔み申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
さて、昨今、EVシフトについては、ポジティブとネガティブなニュースがある。
ネガティブな面で言えば、米国に於けるBEVの販売台数が、2023年10-12月はわずか1.3%増にとどまった。また米国インフレ削減法(IRA)では、2024年1月1日から控除を受けられる車種が、2023年の43モデルから19モデルに減少した。
理由として、2024年から重要鉱物および部品に対する適用割合がそれぞれ10%引き上げられたことによる。この結果、日産リーフも対象から外れた。控除対象から外れた車種は、年々引き上げられるハードルに対し、必死に要件を満たすよう努力するであろう。
さらに、欧州委員会は2023年10月4日、中国からEUに輸入されるBEVについて、相殺関税の賦課を視野に入れた反補助金調査を開始した。今後、比亜迪(BYD)、吉利汽車、上海汽車集団の中国EV大手3社に調査員を派遣すると報じている。
このような状況から、EVシフトは曲がり角を迎えた、もしくは減退していくと考えるのは早計ではないだろうか。もし日系企業にてEVシフトへの対応をスローダウンさせようと考えるならば、挽回のチャンスを失うのではと危惧する。
これまで、EVシフトは50%UP、100%UPなどと年々大幅な伸びを示してきた。しかし、2024年はややスローダウンする、いわゆる「踊り場」の年と考えることが望ましい。踊り場とは、再上昇のための準備期間である。
証左として、ポジティブな面では、中国2023年のBEV/PHEV販売台数は950万台となり、約38%の伸長となった。2024年も好調を維持し、20%増の1150万台が予想されている。欧州での2024年のBEV/PHEV新車販売台数は20%増の300万台と予想されている。
言うまでもなく、欧州「2035年の内燃機関車の新車販売禁止」規制や、バイデン政権によるIRA法案の旗は降ろしていない。EVシフトへに対しては、短期ニュースに対して、一喜一憂することなく、どう踊り場に対応するかを考えることが望ましい年となろう。