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2016年12月19日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

先週、過去のエアバック搭載に匹敵するのではと思われるほど、大きな規制が米運輸省 高速道路交通安全局(NHTSA)にて公表されました。車車間通信、英語ではV2V(Vehicel to Vehicle)と呼ばれるものです。

その内容は、自車のロケーションとスピードを政府保有のクラウドにあげ、それを相互にチェックすることで、モニター上で相互の位置関係を確認できるとともに、前方で見えにくい場所からの飛び出しに対しても、注意が容易となるなど、大幅な交通事故削減が期待されるものです。

法規制は、今後90日間のパブコメを経て、2019年からの搭載を予定しており、フェーズ・インにてその4年後には全車に装着を促す内容となっています。

本件は、数年前からNHTSAが仕掛けて話題に上っていたのですが、全米となると、年間の新車約1700万台に対して、瞬時に相互の情報やり取りを行う方法や、将来も含めたサーバーの大きさ、さらにはセキュリティの信頼性など、本当に実現できるのかなと懐疑的な声も多数ありました。

多くの疑念をも克服し、今回、NHTSAが規制公表に漕ぎつけたことに、大いに敬意を表したいと思います。米国にていよいよ発進することなるのですが、これははたして日本でもできるのでしょうか。

正直、あまりにも膨大なシステム構築が必要なことから、米国の本気度が判るとともに、他国では極めて難しいとも思ってしまいます。

しかし、クルマ相互の位置関係を把握することは、自動運転車を実現しようとする場合の基本であり、これなしに自車のカメラやセンサーのみで周囲を把握しようとしても限界があります。

つまり、米国の新規制は交通事故大幅削減であるとともに、自動運転車を将来実現するための基盤を作っているとも言えるのではないでしょうか。そして、彼らの考え方は、V2Vが先で、自動運転車は後であると。

今回、米国NHTSAの実行力にビリビリ!とくると共に、このような戦略的な思想が見えない日本は、大丈夫なのかと心配になる年末です。