06月

2019年6月5日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

中国の貴州省訪問でビックリ!

 先週、中国の貴州省を訪問する機会がありました。中国の貴州省は重慶市や四川省の 南部に位置し、山が多く、中国の中でも最も貧しい省と言われてきました。 しかし、2014年に貴州省の貴安新区が中国唯一の「ビッグデータ新区」として 指定されると、急激に風向きが変わります。

 今では経済成長率が中国でも常に ベスト3に入るようになり、最も発展が著しい地域となってきました。 今回訪問の目的も「中国国際ビッグデータ産業博覧会」が開催されたことから、 展示会や関連設備を視察するためです。

 訪問して驚かされたことが大きく2つあります。 一つは、貴安新区には中国最大規模のデータセンターが多数設置されています。工事中で あったテンセントやファーウェイのデータセンターは、巨大な山を買い占め、その中腹に 多数のトンネルを掘り、中に数万台のサーバーが設置できるようにしています。 これは貴安新区が高原地帯のため、夏冬通して涼しく安定していること。また山岳地帯 で水が豊富であることや、カルスト地形で地震が少ないことなど、地の利を生かしたものです。

 このため、冷暖房のエネルギーは不要で、ファンによる送風だけで冷却しています。 日本のデータセンターとは比べものにならないくらい、巨大でかつ省エネルギーなデータセンター に驚かされました。

 2つ目は、ビッグデータを扱う「データサイエンティスト」の緊急育成システムです。 ビッグデータを集めても、それを分析し、切り分ける、いわゆるデータの料理人がいないと 話になりません。 このため、貴安新区では「大学城 双創園」を作り、省内12大学のデータ関係学部を集め、 18万人の学生・教員により「データサイエンティスト」を緊急育成するシステムを創っている とのこと。

 日本でも長崎大学にて学生130人を集め、データサイエンティストを育成する学部を新設する動きが報道されましたが、まさに桁違いの活動が既に行われています。

 スイスの有力ビジネススクールIMDの調査による「2019年の世界競争力ランキング」では、 日本はビッグデータの活用で調査国最下位と報道されました。今回訪問で、大規模な 取り組みを既に実行に移している姿を見て、ビリビリ!ときた次第です。