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2018年7月30日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

日中共同による急速充電新規格について

本日リリースのコラムにも書きましたが、日中共同にて急速充電の新規格を検討しています。それも従来の50kW程度のものではなく、超高出力と呼ばれる350kW以上を目指しているようです。実現方法としては、DC充電ピンサイズの拡大や、ピンを中空にして液冷とするなど技術的革新も考えているとのこと。

確かに、昨今は空飛ぶ自動車であったり、大型EVバス、大型EVトラックなどが話題にのぼっており、よくよく考えると商品のみならず、それらへの充電はどうするのか、両輪として配慮しなければなりません。

今回の取材を通して、以前に私が携わっていたEV初期段階から、EV化が空飛ぶ自動車や、大型EVバス、大型EVトラックなど、これまでとは異なる別次元に引き上がっていく時代がきたのかと、思わずビリビリ!きてしまいました。

せっかく日中共同で新規格を作るのであれば、パートナーを増やし、世界標準となるよう目指していただきたいものです。以下にコラムを記載しますので、ご一読いただけると幸いです。

日中共同による急速充電新規格は、世界標準となるのか :
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1807/30/news007.html

2018年6月26日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

過熱気味なEV投資にブレーキ!

直近の報道によれば、中国ではEV投資熱が過熱していることから、新たに厳しい管理規定を作って、EV製造事業への投資熱を抑えようとしているとのこと。

その背景には、今年1月~5月までの新エネ車販売台数が、対前年比142%と驚異的なペースで推移していることや、ここ2~3年で過大な設備投資を計画しているため、少し頭を冷やす必要があると思ったのかもしれません。

2017年に於ける新エネ車販売台数は約78万台まで伸びましたが、この調子でいくと、2018年は予想を遥かに上回る数値になるように思えます。新エネ車のためにいろいろと政策を打っても、なかなか伸びない日本とは好対照となっています。

また、販売が伸びるほど、補助金も膨大になることから、補助金政策の調整を計画しているとのこと。EV走行距離はこれまでの100kmから150kmへ、電池のエネルギー密度は90Wh/kgから105Wh/kgへ変更とのことです。

しかし、今年の2月に事前アナウンスがあったとは言え、突然の補助金政策変更には戸惑った自動車メーカーやプロジェクト責任者も多かったのではないでしょうか。プロジェクトを経験した私にとっても、基本構造の変更まで関係する突然の政策変更にはビリビリ!というより、無力感を感じたように思えます。

中国では、スピードを加速させたり、減速させたりして、計画された産業目標に到達するようにコントロールするだけに、今回のEV投資過熱も、どこで減速させ、またいつ加速させるのか、注目していきたいと思います。

2018年5月10日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

観光都市の機能保全とは

GWは久しぶりにパリを訪問しました。そこで改めて気がついたことがあります。

最初のパリ訪問、約10年前のことですが、オートリブと呼ばれるカーシェアリングがまだ計画段階の時に、パリ市役所の方は、大気汚染などで美術館などの外観が傷んでおり、ゼロエミッションを普及させることにより、観光都市としての機能を保存したいと切実に言っていたことを思い出しました。

そして、今回改めて、ルーブル美術館など多くの美術館を見てみると、外壁部の上側に歴代の皇帝やキリスト教司教などの像が数多く飾ってあるですが、これが黒ずんで、かつかなり傷んできていることが伺えます。

以前は、美術品など室内にあるため、大気汚染の影響などそれほどないのではと、あまり気にしていませんでしたが、今回そのような視点で眺めると、パリ市の危機感が現実になってきていることを実感します。まさにビリビリ!ときた瞬間でした。

昨年、フランスはガソリン車・ディーゼル車の廃止を2040年までに実施すると公表した後、パリ市のアンヌ・イダルゴ市長は、それでは遅い「時は迫っている」として、2024年までにディーゼル車を、2030年までにガソリン車のパリ市内乗り入れを禁止すると、フランスに先駆けて規制を強化することを表明しています。

欧州には、パリ以外にも多くの観光都市が存在し、早かれ遅かれ同じような活動を展開していくのかもしれません。この流れは止められないように思えます。

2018年4月25日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

やはり滴滴出行(ディディチューシン)だったのか

かねてより、自動運転車やライドシェアサービスが普及すると、これまでの自動車メーカーを頂点とするピラミッドから、その上に1stレイヤーとして君臨する企業が現れるのではと思っていました。

その候補企業は、Google、Apple、百度(Baidu)、Tencent騰訊を想定していましたが、4月24日思いもかけないことが公表されました。ライドシェアサービス大手の滴滴出行(ディディチューシン)が、世界の大手自動車メーカーや部品メーカーなど31社をまとめあげ、洪流連盟(Dアライアンス)という企業連合を作るとのこと。

日本からはトヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車も参画しています。洪流連盟(Dアライアンス)の目標として、2020年には100万台のEVを利用し、2030年には1000万台にまで増やすとのこと。

また、滴滴出行は、利用者が求めるニーズを詳細に把握し、製造コスト半減の専用EVも共同開発するとアナウンスしています。

これは取りも直さず、滴滴出行が取り決める仕様にて、自動車メーカーがEVを作ることを意味します。つまり、自動車メーカーにとっては、滴滴出行がカスタマーであり、自らは自動車メーカーではなく、2ndレイヤーとして自動車製造メーカーに転落する可能性があるのではないでしょうか。

私自身も、いつ誰がこのアクションを採るのであろうと思っていましたが、まさか滴滴出行とは思いませんでした。このニュースを聞いてビリビリ!ときた次第です。

ところで、滴滴出行は、ライドシェアサービスにて2017年だけでも約74億人が乗車し、世界400都市に展開しているとのこと。また、今年初めには、契約女性ドライバーが230万人に達したことも公表しています。男性も含めると契約ドライバーは1000万人を越えるのではないでしょうか。

さらに、企業方針として、単にライドシェアサービス会社で終わるのではなく、「自動車と交通業種の変革を牽引する世界トップの科学技術型会社を目指す」を掲げており、今後の自動車産業を左右するキーカンパニーとなるのかもしれません。今後も注目していきたいものです。

2018年3月19日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

中国は深センから捲土重来か

この3月上旬、深センを訪問した。これまで深センといえば、BYDが一強で、あとは中小の集まりのような印象があったが、6年ぶりに訪れた深センは全く様変わりしていた。

なんと言っても目立つのは、AIやIoT関連のベンチャー企業の躍進と、それを支える官民挙げての支援体制の充実である。例えば、深セン大学は、通常の大学ではなく、起業家養成所として起業の基礎から実践まで教えている。
まるで、ベンチャー「虎の穴」のようである。

また、政府は広大な敷地に「創業広場」と呼ばれる場所を格安にて提供し、数多くの厳選されたベンチャーを支援している。その中で、ベンチャー起業家は、まるで不眠不休の如く開発に没頭している。

さらには、1万店の電気店が集結する華強北電気街には、モノづくりのベンチャー企業を民間企業が支援している。近くにありとあらゆる部品が揃うことが強みであろうか。

また、これまで既に成長したジャイアント企業も意欲的な取り組みは衰えていない。WeChat等のモバイルビジネスで有名なテンセントは金融へと手を伸ばし、ドローンで世界シェア8割を握るDJIは、様々な形態のドローン開発に全力を注ぐ。

さらに、6年前に新エネ車でEV/PHEVの開発に着手していたBYDは、本社を訪れてみると、太陽光発電、蓄電池、さらにはモノレール開発も始めており、企業業態を拡大している。

現地にて教わった言葉に、「鼓励創新,寛容失敗(イノベーションを奨励し、失敗に寛容に)」がある。とにかくチャレンジして、その結果失敗しても、それを許す風土があるとのこと。おそらく日本のベンチャー支援体制や環境に最も欠けているものであり、この言葉を聞いた瞬間、まさにビリビリ!ときてしまった。

日本は仏教伝来が6世紀半ばと言われており、それ以外にも漢字、お茶など多くの文化を中国から習った。しかし、近年、中国は安い労働力を元に、生産基地としての役割を担っていた。ところが、ここに来て、世界規模の企業が次々と生まれている。まるで1400年の時を経て中国産業の勃興が起こったようであり、ある意味、捲土重来とも言える。

熱気溢れる深センを見て、日本企業は今後どうすべきなのか考える良い機会となった。

2018年2月5日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

先日講演会を行った時のことです。参加者から、EVや自動運転などが進んでくると、自動車ディーラーはどうなるのかと質問がありました。

これまで、どちらかと言えば、自動車メーカーの動向や、ガソリン系部品メーカーのビジネス変調に注目してきたため、あまり自動車ディーラーについては、正直考えたことはありませんでした。

しかし、日本の自動車ディーラーを考えてみると、少子高齢化により人口が減少すること。EV化によりオイル交換などディーラーに出向く機会が減ること。さらにはテスラなどしか採用していませんが、ソフトウェアの自動アップデートにより、今後は自動車メーカーとユーザーが直接結びつくことを考えると、自動車ディーラーは先行きが怪しいと言わざるを得ません。

米国ではアマゾン等の台頭により多くのモールが廃業に追い込まれているようです。 自動車ディーラーも電動化、IoT化により、直接店頭で販売したり、訪問販売する方法ではなく、自動車メーカーのショールームでクルマを見たあと、ネットでオーダーする、もしくはシェアリングサービスを利用するなど、自動車ディーラー対する役割が減っていくように思われます。

さらには、自動車メーカーがMaaSなどのサービス化に動き出そうとしています。このような状況を考えると、自動車ディーラーは、メーカーのアクションを待って動くというより、自らを業態変化させていく、そのような姿勢が必要ではないでしょうか。電動化、IoT化は、ガソリン系の部品メーカーのみならず、多くの業種で変革を迫られているように思えます。

2018年1月15日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

年明けから米国家電見本市(CES)にて、グーグルとアマゾンによるAI産業革命が話題となっています。電機、自動車ではなく、いよいよAIを武器にIT企業が名乗りを出るのが今年かもしれません。

さて、最近ビリビリ!ときた話は、日経ビジネスの「ダイソン特集」です。
ご存知のように、ダイソンはEVに参入することを表明していますが、どのように開発するのか興味を持っていました。

特集によれば、ダイソンの開発手法は極めてシンプルとのこと。
1.design(デザイン)、2.build(試作)、3.test(検証)、4.break(破壊)の4つのプロセスを行うだけのようです。

しかし、特徴はこれらの中で見つけた課題を、最初の1.design(デザイン)に立ち戻り、ループを繰り返すことにあるようです。サイクロン掃除機の開発では、このループをなんと5000回以上繰り返したとのこと。本当に驚かされます。

通常、クルマの開発でも問題点を発見し、その対策を行いますが、どうしても開発日程や開発費用のことが頭にあり、あるレベルに達すると、途中で妥協してしまうことは多々あります。徹底的に納得するまでモノを開発する、また市場に出てからも次々と改良を続ける姿勢は、日本のモノづくりの精神を、ややもすると上回るのかもしれません。

とにかく、早く効率的に開発することを優先しがちな現代のビジネスの中で、ダイソンのような企業から、どのようなEVが誕生するのか楽しみに待ちたいものです。

2017年12月25日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2017年12月24日、第11回の「日中省エネルギ・環境総合フォーラム」が開催され、全体会議および分科会である「自動車の知能化・電動化分科会」に出席した時のことです。

分科会の発表は、従来からの自動車メーカーや政府機関のみならず、配車サービス会社である「滴滴出行(ディディチューシン)」副総裁の王欣氏も講演されました。

滴滴出行といえば、Uberの中国版とういイメージが強かったのですが、ご自身がコンピュータサイエンス技術者であり、ボストン大学MBAも持つ王欣氏によれば、滴滴出行は従業員7000人の半数がビッグデータやAIに関連するエンジニアにて構成されており、彼らの目標は、「自動車と交通業種の変革を牽引する世界トップの科学技術型会社」を目指しているとのこと。

どうも、単なる配車サービス会社ではないなと、思わずビリビリ!ときた瞬間でした。

彼らの使命は、人口が都市部に集中する中で、都市部で失われつつある交通システムをシェアリングエコノミーを通じて補完しようとしていること。また、ドライバーの運行状況や危険運転行為を監視して交通事故を減らし、お出かけを安全にしようとしているとのことにあるようです。

さらに、最近では、都市の交通管理機関との提携を通じて、知恵型信号の導入や方向可変車道など、ビッグデータやAIを活用した新しい知恵型交通解決プランの導入を図っているとのこと。これは取りも直さず、民間でありながら公共交通機関の役割も果たしているように思えました。

最近、よくMaaS(Mobility as a Service)と言う言葉を聞きます。MaaSは、公共交通機関やレンタカー、タクシー、レンタサイクルなどを組み合わせて人の移動を行うサービスのことですが、まさに滴滴出行がその役割を既に行っているのかもしれません。自動車メーカーとは異なる、新たなビジネス形態の一端を見た一日でした。

2017年11月30日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

不思議なものです。本年7月にフランス、英国が2040年までにガソリン車・ディーゼル車の廃止を公表して以来、海外から日本に来る自動車関係者は「ところで日本はどうするのか?」と聞くことが多くなりました。

中国でも米国のZEV規制にならって、NEV規制を2019年から導入することを公表したばかりです。例えば、中国で年間100万台のガソリン車を販売している企業は、2019年は、EVであれば約3万台、PHEVであれば約5万台の新エネ車販売が義務付けられます。これは2019年はガソリン車比率に対し10%ですが、2020年には12%になり、
その後、将来の数値は明らかになっていませんが、急激に厳しくなるように思えます。

海外から見ると、欧州(CO2規制、ガソリン車廃止)、米国(ZEV規制)、中国(NEV規制)とくるため、冒頭に述べたように「日本はどうするんだ?」となるのかもしれません。

これらの質問を受けるたびに、逆に「ビリビリ!」ときてしまいます。
小職から見ると、日本ではいろいろな政策が何となく待ちの状態になってしまう。そんな気がしてなりません。

なお聞くところによれば、政府は2017年10月に、人工知能(AI)に代表される「第4次産業革命」など世界的な産業構造の変化に対応し、IoT、EVなど日本企業の競争力強化を探る新組織として「グローバル産業本部」を設置したとのこと。より強力、かつ大胆な政策の立案と実行に期待したいものです。

2017年10月13日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

先週「CEATEC JAPAN 2017」が閉幕しました。昔で言えばエレクトロニクスショー、最近ではCEATECと名前が変わり、今年のテーマはCPS(Cyber Physical System)とIoT(Internet of Things)とのこと。

それにしても思うのですが、開催期間は僅か4日間。海浜幕張の大きな会場を借りて大がかりな展示を行い、やっと出来たと思ったら、すぐに壊してしまう。なんとも、もったいないイベントです。

今年のテーマについても、これまで各機器に組み込まれたソフトウェアが、IoTを通して接続されることで「Connected」の世界が実現するというメッセージを伝えていました。しかし、各社の展示は各機器を並べたばかりであり、全体としてどう繋がっていくのか、またConntecedの世界がどのように実現するかはよく判りませんでした。

また、繋がるものの筆頭である自動車は、ホンダの燃料電池ステーションBOXが展示してあるのみで、他の展示はありません。CEATECは、電子情報技術産業協会(JEITA)、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3社が主催しており、自動車関係は含まれておりません。これも日本の縦割りが強いからでしょうか。

一方、10月末から始まる東京モーターショーは自動車主体ですが、近年は米国、ドイツを除く欧州なども参加を見送り、すっかりローカルモーターショーとなってしまいました。

CEATECもこのような内容であれば、毎年開催する必要はなく、東京モーターショーと一緒になって、ロボット、モビリティとIoTがどのように繋がり、どんな未来を切り開いていくのかを世界に発信する”場”とすることも良いのではと思えてなりません。

今回は逆の意味でビリビリ!ときた次第です。