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2016年6月27日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

今日のメルマガは、私的にビリビリ!ときた話です。

このたび、人生初となりますが、一般社団法人を立ち上げることとなりました。

これは、昨年4月より任意団体として活動開始した「自動車100年塾」を、1年間の活動結果を受けて、より社会的責任と活動の幅を広げるため、6月に一般社団法人化したものです。

「自動車100年塾」は、日本の自動車産業のあり方に危機感を共有する有志が、企業の枠を超えて自動車産業の将来を考える場として設立したものであり、4回のワークショップを経て、その意をますます強くしてきました。

今回の一般社団法人化にあたっては、発起人3人にて、この塾のあり方を再考し、基本的な取組姿勢として、自動車産業の孵化基盤=インキュベーション・プラットホームとなることを目指しています。

また実際の活動は、「学びの場」「交流の場」であるとともに、「事業創造の場」と定義し、事業創造については出来る限り具体的な事業に結び付けるために、分科会活動として実行していく所存です。

                       一般社団法人 自動車100年塾   
                         代表理事  和田 憲一郎
                                  理事    鶴原 吉郎  
                           理事  宮尾 健

なお、今回の一般社団法人化を記念して、以下のとおり「記念ワークショップ」を開催することといたしました。ご都合のつく方はご参加賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

・日時  2016年8月1日(月) 18:30~20:30
・場所  文京シビックセンター 26F スカイホール
・参加費 5000円

今回のワークショップは、自動車100年塾の今後の活動内容ご報告とともに、基調講演では、未来予測で有名な株式会社アクアビット代表取締役の田中栄様に今後どのような未来が待っているのかなど、貴重なお話を伺う予定です。その後は、従来どおり車座になって、グループディスカッションを行う段取りとなっております。

参加資格は、特に設けておりませんが、自動車産業に携わっている方、将来の自動車産業に関心のある方であればどなたでもけっこうです。

これまでご参加されている方、また自動車産業に興味を持たれた方は、下記よりお申込みいただけると幸いです。

http://www.auto100y.org/

2016年5月16日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

日産自動車と三菱自動車による資本業務提携について

ご承知のとおり、このニュースは日が替わった5月12日0:15頃、日経より特報として流されました。このニュースを聞いて、一瞬驚いたものの、逆に私的にはビリビリ!ときませんでした。

正直「何だかなぁ・・・」と思ったものです。確かに、三菱自動車の取引先は6000社以上あると言われており、この提携にて各企業から「倒産」の文字が遠のいたことから良かったのかもしれません。

ただ、引っかかってしまうのは、燃費不正の原因がはっきりしていない中で、あえてこのような資本提携を出すことに、どのようなシナリオがあったのだろうと考えてしまうのです。

思い返せば、ディーゼルエンジン車の排気ガス不正問題で窮地に立たされたVWがまだ原因調査中にも係らず、2015年10月13日に突然、今後の環境対応車の軸足をディーゼル車から、一気にEVに移すと公表しました。

その時の私の見立ては2つでした。一つはディーゼルエンジン車から目をそらさせること。ディーゼルエンジン車をあえて昔のものと見なし、今後の新しい方向性としてEVに移行すると公表することで、不具合への注目度を下げようとしたのではと考えました。

もう一つが、欧米特有の「ゲームのルールを変える」ことです。自社に都合が悪くなったり、窮地に追い込まれたりした時は、ゲームのルールを変え、別の土俵(EV/PHEV)で勝負しようとPRしたのではないかということです。

今回は、上記2つはそのまま当てはまらないかもしれません。しかし、VWの場合と違って、燃費不正と提携の話は深い関係でもあるようにも見えるのです。

シナリオが資本提携のところまでなのか、その先があるのか気になるところです。
まだ多くが調査中とのことなので、その結果を待ちたいと思います。

2016年4月25日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

三菱自動車の燃費不正問題について

メディアにて既報のとおり、4月20日に三菱自動車から燃費不正の問題が公表されました。ちょうど筆者は海外出張に出ていた週であり、最初に聞いた時は軽自動車4車種に燃費不正が判明したと報道されました。

これだけでもビリビリ!ときたのですが、その後、4月22日になるとそれ以外の車種、特に私の関わっていたi-MiEVまでもがその対象であると報道されました。

これはまさに驚天動地、思わず「ホントなのか!」と今の今まで知らなかったことに本当にショック!を受けたものです。

通常、車両の開発期間は実験部門と連絡を密にしています。i-MiEVでの約5年の開発期間中も、数えきれないぐらい実験部門に出向き、走行試験に立ち会ったり、時には高速周回路や波状路を自ら運転したりして、一緒に改良を続けてきました。

また、実車の衝突試験にも幾度も立ち会い、完成度合、安全性を確認してきました。このため、実車試験には恣意的な要素は何ら入る余地はないと思っていました。

しかし、振り返ってみても、私の記憶では一度もこの走行抵抗試験に立ち会ったことがないのです。試験項目は何百とあるため、専門的であったためでしょうか。

それにしても、今回の事件は考えれば考えるほど、摩訶不思議です。

なぜそのような不正をやる必要があったのでしょうか。燃費の焦りなどと報道されていますが、客観的に見ても、軽自動車ではトップにかなり差をつけられており、プラットホームの違いもあって、そう簡単には追いつけそうにもありません。

またi-MiEVでは、先行車がない中で、燃費(電費)うんぬんよりも、信頼性、安全性の高いクルマを作ることが最優先されてきました。

このため、燃費向上のために行ったとは到底思えません。

さらに、たとえ部長がこのような指示をしたとしても、コンプライアンスに問題のある指示であれば、課長、主任、担当がそう簡単に納得したとも思えません。

どうしても何か別の動機があるように思えてしまうのです。

一つ引っかかっているのが、走行抵抗を計測する際に、道路運送車両法で規定されている「惰行法」でなく、なぜ米国で規定されている「高速惰行法」を採用したかです。

惰行法では、20km/h、30km/h、40km/h、50km/h、60km/h、70km/h、80km/h、90km/hからギアをニュートラルで指定速度、例えば90km/hを+5km/h上回る速度で走行させます。その後、試験の測定は95km/h(つまり+5km/h)から85km/h(つまり-5km/h)まで減速する時間を測ります。

また、試験は往路3回及び復路3回行い、その平均をとると規定されています。

ここで一つ疑問が生じます。

低速での試験は良いのですが、高速、例えば90km/hの条件にて試験を行おうとすれば、95km/hまで加速する平坦路が必要であること。さらにそこから惰行減速させることから、相当長い平坦の試験路が必要ではないかと思えることです。

岡崎のテストコースは1962年に出来たこともあり、かなり小さく、直線の平坦路は1km程度しかありません。はたして、この惰行法には適した試験場所だったのでしょうか。

逆に高速惰行法は急ブレーキを踏み、1秒毎の減速変化を測ります。つまり、試験場所はそれほど長い平坦路が必要ありません。

三菱自動車は、栃木県に喜連川研究所があり、岡崎より数倍広いテストコースがありました。しかし、2003年1月にダイムラー資本が入り、三菱ふそうトラック・バスとして独立しています。

また、北海道には1周10km以上にも及ぶ広大な十勝研究所を有しています。しかし、ここまで車両を運ぶのもかなりの費用と時間、労力を要します。

今回の件は、背景に試験設備・試験場所の不都合があったのではないか、あくまで私見ですが、そんなことを考えた次第です。

現在調査中とのことなので、その結果を待ちたいと思います。

2016年3月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

分科会  成果報告書完成!

私はドラッカー「マネジメント」研究会に所属しておりますが、当研究会では 定例の研究会の他に、以前から分科会活動として3期、5つの分科会活動を行って きています。

2014年からの第4期活動としては、「少子高齢社会」および「商品開発とベンチャー ビジネス」をテーマとして選び、小職は商品開発のチームリーダーとして分科会活動を 推進してきました。

当該活動は2014年3月18日にキックオフを行った後、2ヶ月に1度のペースにて分科会活動を行い、成果物としては、2015年4月21日に報告書第1版を作成した後、内部レビュー会、 及び識者によるレビュー会を経て、この度、最終報告書として完成することができました。

改めて見てみると、当該報告書はA4x280ページもあり、内容が濃いため、読むだけでも5~6時間いやもっと要するかもしれません。まさにビリビリ!ときた瞬間です。

特に、小職の担当した「商品開発とベンチャービジネス分科会」では、初期段階にてドラッカーが著者として発行した全31冊の本を、各メンバーに分担し、商品開発とベンチャービジネスに関する事項を抽出したことに特長があります。

このように、全てのドラッカーに関する文献を一堂が読み返すことにより、ドラッカーがどのようなことを示唆しようとしていたのか、全体を把握することに努めました。

その後、最終的な論文の取り纏めに当たっては、「フレームワーク」と「企業研究」の2つに分類しています。フレームワークでは、これまで判りにくかった商品開発の進め方を整理するとともに、ロジック的に見える化を図りました。また企業研究のテーマでは、公開に支障の出ない範囲にて、出来る限り具体的に記載するように心掛けています。

足掛け2年に及ぶ分科会活動であることから、参加されたメンバーの方々には厚く御礼を申し上げたいと思います。なお、当該成果報告書の内容は5月21日開催のドラッカー総会にて発表の予定です。
       

2016年2月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

第4回 自動車100年塾の開催について

2016年3月7日(月)に「第4回自動車100年塾」を開催致します。

この自動車100年塾は、昨年4月に有志3名にて立ち上げ、将来の自動車産業はどうあるべきか、また我々は何をしなければならないのかを考える場として、活動を続けてまいりました。

昨年3回開催されたワークショップでは、お招きした講師の方々からガツン!となるような叱咤激励、薫陶を受け、たいへん好評を得ることができました。またぜひとも来年も行って欲しいと、多くの要望を受けました。

本年2年目を迎えるにあたり、この自動車100年塾はどうあるべきか検討を重ねてまいりました。そして、第4回はその新たな取り組みについて、皆さまにご提案させていただきたいと考えております。

また本塾の特長である、チームメンバーによる自由闊達な時間も設けております。

私どもの思いは、本塾を従来の企業枠を超えた場、さらには新たなビジネスを生み出す孵化基盤に育てていきたいと思っておりますので、自動車に関心のある方はぜひともご参加賜りますようよろしくお願い申し上げます。

ご参加される方は下記リンクよりお申込みお願い致します。

http://www.carnorama.jp/auto100.html

2016年1月14日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2016年1月13日「Automotive World」の基調講演を聞く機会がありました。
基調講演は4人のスピーカーだったのですが、最後に講演されたTesla Motorsの電池責任者カート・ケルティ氏が言ったことで気になったことがありました。

彼とは2013年6月に来日の際、取材したことがあるのですが、相変わらず元気な様子でした。さて、気になったことの一つがソフトのアップデートです。

テスラのモデルSでは2~3ヶ月に1度の割合で、ソフトのアップデートを行っているとのこと。その中の一つに、最高スピードもUPさせることができるとのこと。思わず「えっ!」と言ってしまいました。

私はソフトのアップデートとは制御系、つまりバグとか最新のソフトを導入するレベルかと思っていたのですが、テスラはかなり大胆にいろいろな要素をアップデートさせているようです。

これは自動車会社の思想というより、ソフトウェア会社の思想でしょうか。

もう一つは自動運転に関してです。

テスラでもまだ初期段階の自動運転なのですが、それでも2014年の段階でモデルSにはカメラ・レーザーレーダーなどハードは既に取り付けて販売したとのこと。

しかし、ずっとソフトが完成しないので動かすことが出来なかったが、2015年10月なり、ソフトがかなり完成したので、ようやくハード&ソフトで自動運転機能の一部を作動させたとのこと。

これも自動車会社の発想ではなかなか実現難しいことです。ソフトを開発している1~2年の間にハードも進化してしまうことを考えると、早い段階で装着することのリスクを取れるものではありません。

2つのコメントを聞き、考え方がこれまでと違うとビリビリ!ときたものです。

なお、これに関して、2016年1月11日付けWSJにて、テスラは自動運転機能付きの車両で、オーナーが危険な状況で「手放し」運転している様子を撮影した動画が多く出回っていることを受けて、自動運転機能に制限を加えたと報じています。

また、最初のスピーカーであった富士重工スバル技術本部の執行役員も、スピーチ最後に、当社は自動運転に関して5段階あるが、アイサイトなど先進技術をもってしても、まだ当面はレベル2(場面を限定した上での部分的な自動運転)を目指すと言及しており、完全自動運転や人が乗っていない自動運転は視野に入れていないようでした。

自動運転はメディアによりオーバーシュートした感もあり、今年はさらに地に足のついた議論になってくるのかもしれません。

2015年11月30日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

「第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム 次世代自動車分科会」を聴講して

11月29日にザ・プリンスパークタワー東京にて開催された「第9回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」および「次世代自動車分科会」を聴講しました。

この会合は日本と中国で毎年交互に開催されており、日中間での最大規模の会合の一つと思われます。小職も何度か出席しているのですが、今回も参加者は800名を超え、経産大臣、環境大臣なども列席されるなど盛会に開催されました。

さて、午後からの「次世代自動車分科会」に参加して感じたことがあります。

中国では、「新エネルギー自動車」として定義しているのはPHEV、EV、FCVのみです。従来のガソリン車やHEVは「省エネルギー車」として新エネ車と区別しています。そして、戦略を取り纏める国家発展改革委員会の方によれば、2015年の新エネ車販売台数は、なんと約25万台に達するとのこと。

これは驚くべき数値です。中国は2014年の新エネ車販売が約75,000台でしたが、僅か1年で3倍以上に増えています。そして、この数値は米国や日本を追い抜き、世界のトップに躍り出ようとしています。

また、中国の弱点であった充電インフラは、現在はまだほとんどない状態ですが、国のエネルギー政策を司る国家能源局が、2020年までに集中型充電&交換ステーションを12,000箇所、普通充電用のパイルを480万本設置すると宣言し、中国を3つの地域に分けて、優先度をつけて実施しようとしています。

さらに、国家主導による充電業界団体として「国家充電インフラ発展促進連盟」を創設し、まさに急速に充電インフラを充実させるとのこと。これは「CHAdeMO協議会」の国家版と言えるのかもしれません。

もし、これが実現すると、クルマの販売台数もそうですが、あっという間に充電インフラでも世界のトップに立つこととなります。

今回の聴講で彼らの本気度が見え、まさに”ビリビリ!”ときた瞬間でした。

日本はモタモタしていると、販売台数、充電インフラのみならず、技術でも後れを取るのではないか、そんな気がした会合でした。

2015年11月9日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

「SMART MOBILITY CITY 2015」国際シンポジウムを聴講して

 第44回東京モーターショーが閉幕しました。速報によれば、今年の入場者数は812,500人となり、前回(2013年)の902,800人から約10%減少したようです。コンセプトカーや話題のスポーツカーもあり、100万人に届くかと期待していたのですが、これでは関係者のショックも大きいように思えます。

 ちなみに約81万人というレベルは、2000年以降、リーマンショック後の2009年約61万人に続いて2番目に低い数値となります。やはりクルマ離れが進んでいる証左でしょうか。

 さて、11月6日には「SMART MOBILITY CITY 2015」国際シンポジウムと銘打って、自動運転に関する現状と将来予想に関するシンポジウムが開催されました。登壇者は日本自動車工業会、経済産業省、国土交通省、警察庁、内閣府SIP、日系自動車メーカー、米国(元NHTSA自動車安全研究担当長官補)、ドイツ(ドイツ連邦道路交通研究所)などです。

 経済産業省、国土交通省、日系自動車メーカーなどの発表内容は、これまでと同じ論調で、それほど目新しいものはありませんでしたが、米国の国家道路交通安全局(以下NHTSA)から元長官補のDr.Kanianthra氏が登壇し、自動運転に関する今後の見通しについて述べました。

 以前から、NHTSAでは自動運転について以下のとおり5つに分類しています。

<自動運転に関するNHTSAの分類>
Level 0  No-Automation(自動化なし)
Level 1  Function-specific Automation(運転支援)
Lecel 2  Combined Function Automation(パーシャル自動化)
Level 3  Limited Self-Driving Automation(条件付自動化)
Level 4  Full Self-Driving Automation(完全自動化)

 その中で、彼の主張はLevel3(条件付自動化)からLevel4(完全自動化)移行しようとすると、社会的コストが著しく上昇するとしています。また自動運転に関する社会的ベネフィットについても、Level3からLevel4になると、機械のみ(コンピュータ)と人間が介在することから混乱が生じ、社会的ベネフィットも低下すると主張しています。

 このため、彼は、社会的コストと社会的ベネフィットを考慮した時、自動運転の最適解はLevel 1.8からLevel 2.8程度の間になるだろうと述べています。

 まさに、ビリビリ!と来た瞬間でした。

 なぜなら、これまで米国も日本もLevel4(つまり完全自動運転化)を目指して進んでいると思っていたのですが、米国法規の作成を取り仕切るNHTSAが必ずしもそうは思っておらず、自動運転は完全自動化ではなく、どこかで限界を迎えると思っていることに衝撃を受けたものです。

 今回多数のメディアも参加されていましたが、このような指摘についての記述は報道されていないように見受けます。自動運転と社会的コスト、社会的ベネフィットの許容性をどこまで認めるのか、日本ではPRばかりが先行し、まだこのような議論には至っておりません。

 この議論は浮かれることなく、詰めていかなければならない課題かもしれません。

2015年10月28日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

 「第3回 自動車100年塾」の開催について

 さて、ようやく段取りが整い、「第3回の自動車100年塾」を開催する運びとなりました。 自動車に関心のある方は、ご検討いただけると幸いです。

 この「自動車100年塾」は、自動車に関連した経験を持つ有志3名にて、今後の自動車産業のあり方を勉強する場を設けようと、この4月に結成したものです。

 第1回は、5月29日には、第1回として、東大・一橋大などで教鞭を取られ、政府系委員も多数歴任されている特定非営利活動法人 産学連携推進機構 理事長の妹尾堅一郎氏にご登壇いただきました。「ロボットとしての自動車、サービスとしての自動車 ~自動車産業生態系の観点から自動車の未来を考える~」というテーマにてご講演いただきました。

 また第2回は、9月7日に、著書「オープン&クローズ戦略」で有名な、東京大学政策ビジョン研究センター シニアリサーチャーの小川紘一様にご登壇いただきました。「IoT時代の自動車産業と日本企業の方向性 ~自動車産業にオープン&クローズ戦略が必要となった」と題して、ご講演いただきました。

 両講演とも、「企業の中にいると、このような発想がなかなかできなかった」「頭をハンマーで殴られたようなショックだった」など、たいへんな反響をいただきました。

 この好評の結果を受けて、第3回では、連続で学術系が続いたので、実務に強い方にと思い、日経テクノロジーオンライン『リアル開発会議』で有名な「開発の鉄人」こと、システム・インテグレーション社 代表取締役の多喜義彦氏にご登壇いただき、「開発の鉄人がリアルに語る 新事業・新商品開発の実際 ~ワープの時代 自動車はどうなる~」というテーマにてご講演いただくこととなりました。

 なお、今回は会場の都合により定員30名としております。申し訳ありませんが、先着順としておりますので、ご了承賜りたく、よろしくお願い致します。

・日時  11月27日(金)18:30-20:30

 また、今回ご都合悪い方も、次年度多彩な企画を準備しておりますので、次回よりご参加検討いただきたく、よろしくお願い致します。

http://www.carnorama.jp/auto100.html

2015年10月19日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

 「潮目が変わったのか!」

 年初めに、しばらくは燃料電池車(以下FCV)の話題が続くが、秋口からは流れが変わり、電気自動車/プラグインハイブリッド車(以下EV/PHEV)に話題の中心が移るのではと予想しました。これを聞いた多くの人は、当時毎日のようにFCVがメディアを賑わしていたこともあり、半信半疑だったようです。

 それを考えた背景として、多くの要素がEV/PHEV関連で同時進行しており、これが出現するのが2017~2018年であること。そして、一気に流れが変わる閾値(Tipping Point)がその時に来るのではと見立てを行いました。

 そして、2017年の東京モーターショーでは、既に量産車が出てくることを考えるとコンセプトカーを出すのは今年の東京モーターショーでないかと予測したのです。まさに、クルマの出現時期から逆算してトレンドの動きを予想しました。

 ところが、思いもよらぬことから変化が生まれました。VW問題です。
排ガス不正問題で窮地に立たされたVWが、ご承知のように、環境対応車をディーゼルから、一気に電気に軸足を移すと表明しました。(2015/10/13)

 これに堰を切ったかのように、連日関連する報道がありました。
まさに何か連動しているのではと「ビリビリ!」と思った次第です。

・トヨタ・・・2050年グローバル新車平均走行時CO2排出量を90%削減。
       つまり2050年までにガソリン車をゼロにする。(2015/10/14)

・ボルボ・・・今後発売する全てのクルマにPHEVモデルを準備するとともに、
       2019年までにEVの販売を開始する。(2015/10/16)

・ホンダ・・・今後のエコカーはPHVを主体に考える。(2015/10/17)

 それにしても、ここに来てなぜ急激にEV/PHEVに傾斜し始めたのでしょうか。
複数の要因があると思いますが、私の見立てとしては主に3つです。

1.自動運転技術の導入が早まりそうなこと
 無人、完全な自動運転のレベル4はまだまだ無理としても、半自動運転であるレベル3への技術開発が進んでいます。このレベルでは、運転責任はあくまでドライバーにありますが、ある一定条件下であれば、自動運転が可能な
 ところまで技術が進んでいます。そして、いよいよ法整備、保険など付帯条件の分野にまで検討が進み始めました。

 その時、EV/PHEVなどの電動車両がないと、せっかく機器を開発しても、載せるクルマがないというこになりかねません。

2.ガソリン車の収益に陰りが見えてきたこと
 円安にて一服ついていた日系自動車メーカーも、来期は減益予想となるところが複数出てきています。また中国の減速で大きなダメージを負っているドイツ、米国、韓国の自動車メーカーも同様の状態となっています。
 
 このような状況を打破し、他社との競争に打ち勝つためにも、いち早く次世代のパワートレインに切り替える必要性が出てきたのではないでしょうか。なお、ハイブリッドでは新鮮味もなく、その役目は難しいように思えます。

3.次世代電池(エネルギー密度向上、全固体電池の導入)への目途が立ち始めたこと
 電池は、要素技術が生まれてから量産化まで、一声10年と言われます。2009年にi-MiEVが生まれてからはや6年が経過しました。2017~2018年を想定すると、既に各社からアナウンスされているとおり、300kmを走行可能とする電池など、次世代電池の登場が近づいているように思えます。

 また、2020年頃には、リチウムイオン電池の弱点であった有機系電解液を、不燃の電解質に変えた全固体電池が登場するかもしれません。

 ただ、残念なことは、このような状況に於いても、まだどの方向に進むか躊躇している日系自動車メーカーも多いように思えます。そうしている間に、ガソリン車で勝負できた市場でも、テスラなどの米国ベンチャー企業やドイツ自動車メーカーに市場を奪われていくのではと危惧します。

 「急激な構造変化の時代にあっては、生き残れるのは、自ら変革の担い手、チェンジリーダーとなる者だけである」とはP.F.ドラッカーの名言ですが、まだ先頭に立とうとしない今の自動車メーカーに、この言葉が当てはまるのではないでしょうか。