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2025年10月27日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

政府公用車としてのF-150導入に疑問

2024年4月21日付の小職メルマガにて、米国車に対する「非関税障壁」への対応策として、「第2次トランプ政権は成果を欲していると思われるので、筆者の勝手な意見かもしれないが、輸入車(主に米国車)を公用車として適用拡大してはいかがであろうか」と持論を述べた。

この提案に対して、複数の方より「公用車としての導入は現実的ではないのではないか」とコメントをいただいた。しかし、筆者の予想通り、政府はフォードの大型ピックアップトラックF-150を100台規模で導入しそうである。

この方針に関しては、いくつかの疑問が残る。一つには、日米間の自動車に関する貿易不均衡は顕著であり、2024年の実績では、日本から米国への輸出台数は約139万台であるのに対し、米国から日本への輸入は約1.5万台に過ぎない。

このような状況下で、2016年に日本市場から撤退したフォード車両を、たった100台規模で公用車として採用することは、不均衡是正の観点からも疑問が残る。

二つ目として、F-150は米国市場向けに設計された大型車両であり、左ハンドル仕様のまま日本国内に導入することは、道路事情や運用環境を鑑みても適切とは言い難い。

仮に国土交通省の地方整備局において、工事や道路パトロール用途に使用する意図があるとしても、車両のサイズや仕様が日本の実情に即しているとはとても思えない。

筆者としては、公用車としてより適しているのは、テスラの「モデルY」などではないかと考える。右ハンドル仕様もあり、既に日本国内での販売実績を有し、サービス体制も整備されている点で、実用性・持続可能性がある。

さらには、トヨタも米国での生産車両を日本へ「逆輸入」する方針を米国側へ伝える方向で調整との報道もあり、政府案に対しこれが本命となる可能性もあるのではないか。

なお、以前にトランプ大統領がフォード車の日本市場への導入にコメントしたことがきっかけと考えているかもしれないが、今回の対応は、象徴的な少量輸入に留まるのか、あるいは今後の継続的な輸入拡大に繋げるのか、よく考えるべきアイテムのように思えてならない。