株式会社 日本電動化研究所
11月

2015年11月9日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

「SMART MOBILITY CITY 2015」国際シンポジウムを聴講して

 第44回東京モーターショーが閉幕しました。速報によれば、今年の入場者数は812,500人となり、前回(2013年)の902,800人から約10%減少したようです。コンセプトカーや話題のスポーツカーもあり、100万人に届くかと期待していたのですが、これでは関係者のショックも大きいように思えます。

 ちなみに約81万人というレベルは、2000年以降、リーマンショック後の2009年約61万人に続いて2番目に低い数値となります。やはりクルマ離れが進んでいる証左でしょうか。

 さて、11月6日には「SMART MOBILITY CITY 2015」国際シンポジウムと銘打って、自動運転に関する現状と将来予想に関するシンポジウムが開催されました。登壇者は日本自動車工業会、経済産業省、国土交通省、警察庁、内閣府SIP、日系自動車メーカー、米国(元NHTSA自動車安全研究担当長官補)、ドイツ(ドイツ連邦道路交通研究所)などです。

 経済産業省、国土交通省、日系自動車メーカーなどの発表内容は、これまでと同じ論調で、それほど目新しいものはありませんでしたが、米国の国家道路交通安全局(以下NHTSA)から元長官補のDr.Kanianthra氏が登壇し、自動運転に関する今後の見通しについて述べました。

 以前から、NHTSAでは自動運転について以下のとおり5つに分類しています。

<自動運転に関するNHTSAの分類>
Level 0  No-Automation(自動化なし)
Level 1  Function-specific Automation(運転支援)
Lecel 2  Combined Function Automation(パーシャル自動化)
Level 3  Limited Self-Driving Automation(条件付自動化)
Level 4  Full Self-Driving Automation(完全自動化)

 その中で、彼の主張はLevel3(条件付自動化)からLevel4(完全自動化)移行しようとすると、社会的コストが著しく上昇するとしています。また自動運転に関する社会的ベネフィットについても、Level3からLevel4になると、機械のみ(コンピュータ)と人間が介在することから混乱が生じ、社会的ベネフィットも低下すると主張しています。

 このため、彼は、社会的コストと社会的ベネフィットを考慮した時、自動運転の最適解はLevel 1.8からLevel 2.8程度の間になるだろうと述べています。

 まさに、ビリビリ!と来た瞬間でした。

 なぜなら、これまで米国も日本もLevel4(つまり完全自動運転化)を目指して進んでいると思っていたのですが、米国法規の作成を取り仕切るNHTSAが必ずしもそうは思っておらず、自動運転は完全自動化ではなく、どこかで限界を迎えると思っていることに衝撃を受けたものです。

 今回多数のメディアも参加されていましたが、このような指摘についての記述は報道されていないように見受けます。自動運転と社会的コスト、社会的ベネフィットの許容性をどこまで認めるのか、日本ではPRばかりが先行し、まだこのような議論には至っておりません。

 この議論は浮かれることなく、詰めていかなければならない課題かもしれません。