12月

2023年12月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

ダイハツの試験不正に思う#2

2023年5月22日のブログ「ビリビリ!とくる話」にて、ダイハツのポール側面衝突試験について述べた。

その時、「助手席の試験を実施し、運席の試験を省略して報告書を提出したのであれば、当時余程不都合なことが生じていたのではないかと推察してしまう。またこれは試験部門のみならず、設計部門、認証部門も知っていないと出来ないことであろう」と指摘した。

さらに、「今回の件は、単に部品不具合などのリコールと異なり、自動車会社の存続を揺るがすほど大きな案件となるのではないだろうか」と懸念を示していた。

12月20日第三者委員会およびダイハツが公表した「認証試験での不正は1989年(34年前)からであり、新たに25の試験項目で174個の不正行為が判明し、すべての車種で出荷を一時停止する」とは衝撃的である。

これから多くの事実が明らかとなってくるであろうが、筆者としては3つの要因があると思われる。
1.試験に対する認識の甘さ
 ダイハツは主に国内での販売であり、欧米での厳しい試験をあまり経験していない。このため、試験に対して不正をしても分らないと思ったのではないだろうか。海外で多く販売しているメーカーは、不正が発覚した際のインパクトを痛感している。

2.認証試験の位置づけに甘さ
 認証試験は、これまでに多くの事前試験を実施し、その後、改良を反映させた車両での確認であり、一発試験はあり得ない。もしこれが、報道されているように「認証は一発勝負であり、失敗は許されない」と考えているようであれば、これまで事前試験をあまり実施してこなかったのではないだろうか。開発プロセスやゲートシステムに誤りがあるとしか思えない。

3.開発責任者の権限の弱さ
 車両の開発責任者は、衝突安全性など、最も重視する項目であり、開発途中でどこまで出来ているのか、常に注視していたハズである。もし不都合が判明すれば、車両開発の中断、日程見直しなども出来たのではないだろうか。しかし、開発責任者の権限が弱ければ、経営幹部の意見に従う結果になってしまう。34年間も不正が続いていたということは、開発責任者の立場が極めて弱かったように思えてならない。

今回の不正は、ダイハツというブランドが消滅するくらい、大きくブランド価値が毀損している。もしこのまま生き残りを模索するのであれば、現在の経営陣、開発上層部を一新し、トヨタの小型車部門としてトヨタが直接経営することでない限り、生き残りは難しいと考える。