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2020年7月20日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

今、日産新型EV「アリア」発表の意味とは

日産自動車は先週の7月15日、オンライン(Youtubeも配信)による新型クロスオーバーEV「アリア」の新車発表会を行った。昨年の東京モーターショーでもコンセプトカーが展示されていたので、「あれっ、もうなの?」と思ったものである。

しかし、聞いてみると発売は2021年半ばからとのこと。発表から発売まで1年もあることに驚かされた。一般的に、自動車会社はあまり早く新型車を発表することはリスクを伴う。デザインの陳腐化や、車両のスペック・新技術の内容をある程度公開せざるをえないからである。

そのため、出来る限り発表と発売を近づけようとする。但し例外もある。量産型EVである三菱「i-MiEV」や日産「リーフ」の場合、早くから発表して、かつ発売時期を公表していた。というのも、EVという知名度を高めるとともに、これまでにない充電インフラ(普通充電、急速充電)の準備を進めるため、多くの企業の支援や期間が必要であったからである。

しかし、既に充電インフラがほぼ整った現在、日産がこのように早く発表したのは、お家の事情があるのではないだろうか。前期の大赤字、また今期も新型コロナの影響で経営環境が厳しくなる中、花火を打ち上げて、世の中にアピールするとともに、日産社内、取引先に対しても、日産の意気込みを示す必要性に迫られてのことだと推定する。

発売1年前ということは、まだ試作車段階のレベルであろう。開発目標(コスト、重量、電費、航続距離、冷暖房時の熱損失、各部品の信頼性など)は高く、かつ新機能がてんこ盛りため、達成度の多くは未達と思われる。

そして、これから量産に向けて各部を詰めれば詰めるほど、マイナスの要素が増えてくる。またコスト・重量と、要求機能の向上など、二律背反なども増えてくるであろう。

しかし、自動車会社は、失った信頼は、新しいクルマで取り返すしかない。今回、経営陣も不退転の決意で発表しており、開発陣も死にものぐるいで対応しているのではないだろうか。筆者の経験でも、二律背反は、新たなアイデアや小さな改良の積み重ねにより乗り越えられることも多い。

新型EV「アリア」が、全世界の自動車会社からみて、「これこそ第二世代のEVだ、お手本だ!」と思えるようなクルマに、ぜひとも育てていただきたいと願わずにはいられない。