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2023年11月20日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

      テスラに学び、独自の手法で実現するBYDのTMS

先般、BYD SEALに関して、私どもが主催している「一般社団法人自動車100年塾」のメンバーにて分解車両見学会を実施した。

BYD SEALはまだ日本では発売されていないが、e-Axleとして「8 in 1」 と呼ばれる8部品の統合や、電池パックと車体を一体化したCTB(Cell to Body)構造、多彩なマルチメディアを有するなど、魅力溢れるBEVとなっている。

その中で着目したのは、冷暖房をコントロールするTMS(Thermal Management System)である。筆者が見る限り、これはテスラがModel Yより採用したオクトバルブ付TMSを参考に開発したのではと思った。しかし、BYDの開発手法は、テスラのオクトバルブ付TMSを分解して、機能毎に分析し、再度、既存の技術(例えば9つの開閉弁)なども使いながら、構築しているように思えた。

おそらくBYDの技術者は、模倣するのではなく、どこまでテスラTMSに肉薄できるか悩んだのではないだろうか。その分、SEALのTMSサイズは大きくなっているが、寒冷地に於ける対応など、機能そのものは近づいたように思える。

近年、e-Axleが着目されているが、車両全体から考えると、冷暖房をコントロールするTMSをどう開発するかが、開発の上位に来るのではないだろうか。そしてTMSの良し悪しが車両の性能を決めてしまうことも多いと思う。

もっとも、自動車メーカーにとって、TMSを一新することは重い決断である。日系自動車メーカーでは最も苦手な領域と言えるかもしれない。BYDは道半ばとは言え、システムを一新してTMSでテスラに肉薄していることは、スピードと決断力の面でBYD恐るべしと思った。