中国:雄安新区は未来の都市像であろうか
かねてより行きたかった中国雄安新区に、今週訪問することができた。ご存じない方のために少し説明すると、雄安新区は北京の南西150kmに位置し、北京首都機能の一部を補完することや、新たなイノベーションを集積した街として2017年に公表された新区である。
当初の人口は100万人、面積は長期計画として1770km2を想定とのことである。しかし、筆者が見たところ、新区があまりにも広大で、構想の1%も出来ていないように見受けた。今回はかなりゆっくりとしたスタートなのであろうか。
一番の目玉は、何と言っても、自動運転車しか街中を走行出来ないことである。新区近くの駐車場で止められ、EVシャトルバスに乗り換えて、新区の中に入ることができた。新しく出来た雄安新区市民サービスセンターの周囲では、自動運転車のアポロプロジェクトや、自動荷物運搬車のNEOLIXなどが実証試験を行っている。
ただ、筆者の印象として、初期で100万人、2035年頃には200万人を超えると想定している割には、都市計画は、オフィスビル、住宅地、碁盤目状の道路というように普通である。
私見であるが、せっかく世界の最先端テクノロジーを集めて、新しい街を作るのであれば、街の中に自動運転車や自動運転バスが走るだけでなく、もっと人の大量移動を可能にする新たな高速トラムや移動体がなければ、北京以上の渋滞になってしまうのではと危惧する。
より辛口に言わせていただくと、新区構想は素晴らしいものの、モビリティに関しては、EVや自動運転車など、今ある技術、もしくは延長上の技術を集めて、新しい都市を創ろうとしているように見受けた。
このため、かなりビリビリ!とくるのではと期待して行ったのであるが、出発前に観た映画「ボヘミアン・ラプソディ」のほうがよっぽどビリビリ!ときた次第である。いずれにしても、雄安新区は着手したばかりであり、どう変化していくのか再度訪れてみたい。