2021年9月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2021年9月21日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

 EVバッテリー交換方式が一つのジャンルとして形成

 最近、普通充電器や急速充電などの充電インフラについてよく聞かれる。しかし、それとは別にEVバッテリー交換方式も一部では普及拡大している。昨年末、中国にてNIOやEVトラックにて採用が多くなっているとの情報があったが、改めて調べてみると、乗用車ではNIOのみならず、大手の北汽新能源なども採用している。

 さらに採用が急増しているのがEVトラックである。大型バッテリー(2mx2mx1m)を運転席と助手席の背面に設置し、クレーンで容易に交換できる構造としている。これまでは、ルートが決まっているEVトラック(例えば、鉱石が産出する山間部と港など)に対して、バッテリー交換方式が採用されてきた。最近では、その採用が北汽福田、上汽依維柯紅岩、華菱などトラックメーカー5~6社に拡大している。既に実績は1万台を超えているようだ。

 理由として、まず第一に車両価格の安さが挙げられる。バッテリーレス価格で販売するため、大型バッテリー搭載車両と比較すると価格差が大きい。トラック事業者はバッテリー交換費用のみを支払えば済むこととなる。

 また、EVトラック用のバッテリーは急速充電でも2~3時間と長い時間を要するが、バッテリー交換方式はわずか5分程度で可能となる。このため、EVトラックが走行するルートに、バッテリー交換ステーションを2~3カ所設置するだけで対応可能である。これは超急速充電規格ChaoJiにとっても脅威であろう。

 そして、バッテリー交換方式を可能にしているのが、電池を供給する世界最大の電池メーカーであるCATLの存在があるようだ。CATLがトラックメーカーを集め、バッテリーサイズ、取り付け方法など、EVバッテリー交換に必要な要件を標準化して進めたとのこと。

 今後、EVトラックが全てバッテリー交換方式となることはないが、中国のようにルートが決まったところを、ほぼ毎日走行するトラックなどは採用が増加し、バッテリー交換方式が一つのジャンルとして形成していくと思われる。

 残念ながら、日本にはそのような電池メーカーもなく、同じルートを走るトラックも少ないことから、実現性は乏しい。

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