2021年2月15日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2021年2月15日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

アップルカーの条件

 アップルが販売する、いわゆるアップルカーについて、話題のためか、意見を求められる機会が多い。筆者は当事者でないので、真偽は不明であるが、もし2024年~2025年に販売しようとすれば、少なくとも本年度中に相手先を決め、取り掛かる必要があるように思えてならない。

 そのため、もし筆者がアップル自動車事業の責任者だった場合、どのような条件を考えるのか、彼らの頭の中を想像してみた。

 まず、アップルはクルマに関して、調査・研究はしているものの、実際にクルマを開発・製造したことはない。このため、iPhoneのように、自社開発し、製造はEMS大手の鴻海精密工業(フォックスコン)などに製造委託するという訳にはいかない。

 つまり、候補となる自動車メーカーは製造委託というより、ある意味、共同開発のパートナーとして扱う必要があるのではないだろうか。その場合、ジョブシェアや責任範囲など、調整に相当時間を要すると推察される。

 では、候補自動車メーカーを考える時、どのような条件を設定するのであろうか。筆者は少なくとも下記3つの項目は必須と考える。

1.EVに関する量産経験を有すること
 これはとても大切である。アップルは初年度でも10万台、数年後にはテスラに匹敵する年間50万台以上を想定しているであろう。そのため、少量しか生産経験がない自動車メーカーでは、経験不足とみるのが妥当ではないだろうか。

2.自動運転で数多くの知見・経験を有すること
 アップルは当初は完全自動運転でないにしても、将来は自動運転を視野に入れていると思われる。その場合、アップルが元自動車エンジニアを集めて調査・研究していても、やはりクルマとしての挙動など、どうしても自動車メーカーとのタイアップが必要となる。そのため、自動運転に関する知見・経験があることを求めるのではないだろうか。これは自動車メーカーとの共同開発エリアになろう。

3.電池供給を自らの判断でコントロールできること
 実はこれが最も重要かもしれない。アップルはモノ作りは自ら手掛けないため、電池メーカーからの供給を受けるであろう。しかし、EV化が急激に進展するにつれ、世界的にどの電池メーカーも余裕がなくなってきている。

 つまり、優先的に電池を確保し、コスト的にも安価で抑えようとすれば、自動車メーカーにて電池ボリューム、価格をコントロール出来ることが望ましい。そう見渡すと、例えば、自動車メーカーでありながら、元々電池メーカーであったり、電池部門を社内カンパニーとして内包していたが、現在は外部に出して独立させているところもある。いずれも自ら電池生産ボリュームをコントロール可能とみるべきであろう。

 このように考えると、世界中で候補となる企業は限定されるのではないだろうか。ただし、これはアップルの思惑だけで決まるものではなく、候補企業の考え方にもより、これからどのような選択となっていくのか、楽しみである。

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