米国車の「非関税障壁」指摘を考える
メディアでは米国車の「非関税障壁」が話題になっているが、何だか分かりにくい。そこで、米国商務省が3月末に発表した「2025年版:外国貿易障壁報告書」を紐解くと、米国車に関する「非関税障壁」事例が列挙されている。これについて考えてみたい。
・米国連邦自動車安全基準認証が日本の自動車安全基準と同等の保護レベルを提供しているものとして認められていない。
⇒国交省が定める「輸入自動車特別取扱制度」への言及であろうか。具体的な指摘がないので、交渉に多くの時間を要するのではないか。
・リモートキーレスエントリーやタイヤ空気圧モニタリングシステムを含む短距離車両通信システムの周波数が、世界的な整合化に合致していない。
⇒これに関しては、2025年2月、日本は電波法施行規則を改正し、世界的な周波数である433.92MHzに改めている。
・ZEVへの補助金で外国車差別を指摘。主に日本のメーカーが最も恩恵を(例:FCEVに対して最大255万円の補助金)を受けている。
⇒輸入車に関しては、米国車のみなずBYDなどでも課題となっている。
・充電ステーションへの急速充電に関する補助金支給は、日本独自のCHAdeMO規格への準拠を義務付けている。
⇒CHAdeMO規格の急速充電器は、多様な車種にも充電できるため補助金を交付されている。スーパーチャージャーはテスラ車にしか充電できないことから、汎用性を欠くという観点であろうか。
・高速道路のサービスエリアには、CHAdeMO規格の急速充電器が設置されており、他規格(テスラのスーパーチャージャー)は、高速道路から出なければならないこと。
⇒国土交通省は、2023年以降、充電を希望するEV所有者が2時間、高速道路から無料で退出および再進入できる取り組みを実施している。
これらの規制緩和を行ったとしても、米国車の販売増加に繋がるかは疑問である。第2次トランプ政権は成果を欲していると思われるので、筆者の勝手な意見かもしれないが、輸入車(主に米国車)を公用車として適用拡大してはいかがであろうか。