2026年8月24日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

2026年8月24日 和田憲一郎のビリビリ!とくる話

「デジタルバッテリーパスポート」への日本側対応は本当に間に合うのか

電気自動車(BEV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)に関わる極めて重要な規制が、いよいよ半年後に迫っている。欧州委員会が制定した「EUバッテリー規則(EU 2023/1542)」に基づき、デジタルバッテリーパスポート(DBP)の義務化は2027年2月18日に施行される予定だ。

この規制に適合するためには、膨大かつ詳細なデータの整備が不可欠である。しかし、日系自動車メーカーは果たしてその準備を十分に進められているのだろうか。筆者は大きな懸念を抱いており、今回その問題を取り上げたい。

これまでバッテリー情報の透明化に向けては、欧州を中心とした官民連携組織「グローバル・バッテリー・アライアンス(GBA)」が「バッテリーパスポート」構想を推進してきた。材料の原産地、精製者、セル生産者、バッテリー重量、製造時の炭素排出量などをバッテリー単位で明記し、管理する取り組みである。

しかし、GBAの枠組みは法的拘束力を持たず、EU規制とも直接連動していない。このため、EUは独自に法的義務を伴う制度としてDBPを正式に規定した。

対象となるのは、2kWhを超えるEV用バッテリー、産業用バッテリー、LMTバッテリー(電動自転車・電動キックボード等)である。

DBPとして準備する項目には、カーボンフットプリント、リサイクル材比率、材料組成・化学特性、性能・耐久性データ、サプライチェーン・デューデリジェンスなど、100項目を超えるデータが必須となる。

特に日本側で収集困難と思われるのが、カーボンフットプリントの精緻な算定、サプライチェーンのデジタル証跡、リサイクル材比率の証明、SOH(State of Health)を継続更新する車載クラウド基盤の整備などであろう。

では、もしDBPの提出が期限に間に合わなかった場合、何が起こるのか。EUバッテリー規則は罰金では済まない。未提出の場合はEU市場への投入禁止(新車販売の停止)、提出内容に不備がある場合は車両の撤去命令という極めて厳しい措置が明記されている。

欧州メーカーや中国メーカーが着々と準備を進めているとされる中、日本勢の対応はかなり遅れているとの声もあり、競争力の根幹を揺るがす事態となりかねない。こうした状況を踏まえると、本件に大きな懸念を示さざるを得ない。

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